鎮座地 名古屋市東区矢田南一丁目六番三十七号
御祭神 伊奘諾尊(イザナギノミコト)・伊奘冉尊(イザナミノミコト)

 昔 話 (伝 説)  

その昔、六所神社の境内は森に覆われていて、暗がりの森といわれ、森自体が御神体として崇拝されていたと伝えられています。
 或る日神域の南のはずれの森の中より、赤児の泣声が聞こえて来たので、不思議に思った村人が近づいてみると、旅の貴人夫婦が、
産まれたばかりの 丸々と太った男の赤児を抱いていました。貴人夫婦はその後七日目に名も告げずに立ち去りましたが、
この日が二月二十六日であり、初産湯を使った のが、森のはずれの湧水であったと伝えられています。
これを稀人の訪れとし、安産の神の奇瑞とした村人の噂が、近隣近郷に伝わり、安産の神として遠隔の人々までが、参拝に訪れる様になったと云われています。
 又、古く六所神社には、本地仏として子安観音が祭られ、子安(安産)の宮として広く崇められていたと伝えられています。観音像は盗難にあって存在
しませんが、仏心はそのまま永く留まられ、今も仏の恵みがあると伝えらています。
  『東大曽根町誌』には、戦国時代に名のある武将が、郎党五騎を伴ってこの地に逃れ、森の中で自害したので、或人がその霊を慰めんと神に祀り、
その塚が六所の森の西北隅にあったと伝えています。